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Azureとは?という疑問を持つ方々に向けて、この記事ではMicrosoft Azureの基本的な概念とその活用方法を解説します。 AzureはMicrosoftが提供するクラウドサービスのひとつで、クラウドコンピューティングのリーダーであるAWSのシェアを猛追しており、企業のITインフラにおいて、年々存在感が増しているサービスです。
この記事では、Azureの基本概念から、その活用方法、さらにはAzureを最大限に活用するためのヒントまでを詳しく解説します。
Microsoft Azureとは?
Microsoft Azureは、Microsoftが提供するクラウドコンピューティングのサービスで、全世界で60以上のリージョンで運用されているサービスです。
Azureでは、サーバーやネットワークなどのITインフラをクラウド上で提供するだけでなく、IoTやブロックチェーン、人工知能の機械学習、データ分析など、様々な開発業務をクラウド上で行うためのプラットフォームも提供しています。Azureには様々なサービスがあり、ユーザーのニーズ・目的によって、自由に組み合わせて利用可能です。
クラウドサービス市場は、近年急速な成長を遂げています。多くの企業がデジタルトランスフォーメーションを進める中で、クラウドの利用はその中心となっています。その中で、Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureは、この市場の主要なプレイヤーとして知られています。そうした中で、CanaryとSynergy Research Groupの調査によると、Azureの急速な成長が注目されています。
2023年第一四半期の結果をみるとAWSのシェアは32%で変わらず、MicrosoftのAzureは23%と、前四半期の21%から2%もシェアを伸ばしています。
出展:Synergy Research Cloud Spending Growth Rate Slows But Q4 Still Up By $10 Billion from 2021; Microsoft Gains Market Share | Synergy Research Group (srgresearch.com)
シェア伸長の要因は、Azureが既存のMicrosoftサービスとのシームレスな連携や、新しいサービスや機能の追加などがエンタープライズ企業を中心に評価をされ導入が推進されていった成果とも言えるでしょう。また、マルチクラウドやハイブリッドクラウド環境の利用がスタンダードになりつつあることも背景にあるのではないでしょうか。今後もMicrosoft社の動向は、クラウド市場全体の動向を左右することとなるでしょう。
Azureの基本概念:クラウドサービスとは何か?
クラウドサービスとは、インターネットを通じて提供されるITリソースやアプリケーションのことを指します。従来、多くの企業は自社でサーバーやストレージを保有していましたが、クラウドの導入により、これらのリソースを外部から利用する形態が主流となっています。Azureは、このクラウドサービスの中で、多岐にわたる機能を持ち、多様なニーズに対応するサービスを展開しています。
Azureの発展と普及:なぜAzureは急速にシェアを伸ばしているのか?
出展:Synergy Research Cloud Spending Growth Rate Slows But Q4 Still Up By $10 Billion from 2021; Microsoft Gains Market Share | Synergy Research Group (srgresearch.com)
Azureは、2010年のサービス開始以来、年間20%以上の成長率を記録しています。この急成長の背景には、Microsoftとの強固なエンタープライズ顧客との関係や、Microsoft 365やDynamics 365などのサービスとのシームレスな統合が挙げられます。さらに、Azureは開発者に対しても充実したツールやサポートを提供しており、新技術の導入やアプリケーションの開発が容易になっています。
前章でも書きましたが、調査会社の米Synergy Research GroupとシンガポールCanalysは、2023年第1四半期時点のグローバルにおけるクラウドインフラのシェアを発表しました。過去1年のクラウドインフラ市場の成長率は20%前後となっており、これまでの30%前後の高い成長率から減速していることが示されました。
特に注目されるのは、AWSとAzureのシェアの差が2桁を切り、9ポイントに縮まったことです。この結果は、CanaryとSynergy Research Groupの両社の調査で一致しており、AzureのシェアがAWSに対して着実に近づいていることが明らかとなりました。Synergy Research Groupの調査結果によれば、AWSのシェアは32%、一方でMicrosoft Azureは23%のシェアを持っており、前四半期から2%ものシェアを伸ばしています。このトレンドが続くと、1年半から2年前後でAzureがAWSに追いつく可能性が高まっています。
特に、AzureはOpenAIとの提携によるAI関連サービスの提供が予定されており、今後の成長が非常に期待されます。
このような背景を持つAzureの急成長は、その多機能性やコスト効率性、拡張性、セキュリティの高さ、そしてMicrosoftとの強固なエンタープライズ顧客との関係に起因しています。クラウドの特性を理解し、適切な管理と企業の経営戦略やシステム戦略に基づいた最適化が求められる中、Azureの活用や、AWSやオンプレとの共存した活用を検討している企業は増加をしています。
Azureを利用する5つのメリット
Azureを採用することで、以下のようなメリットが得られます。
1. コスト効率化
物理的なインフラストラクチャの維持や更新の必要がなく、使用したリソースのみを支払うモデルにより、初期投資や維持費が削減できた、等コストの効率化が実現できます。これにより、企業は資金を他の重要なプロジェクトやイノベーションに再投資することができます。
2. 柔軟性
Azureは200以上のフルフィーチャードサービスを提供しており、ビジネスの要件や変化に迅速に対応するためのカスタマイズや拡張が容易です。これにより、ビジネスの成長や変化に柔軟に対応することができます。
3. セキュリティ
Azureは、Microsoftが提供する最新のセキュリティ技術を利用でき、多層的なセキュリティ対策やデータ暗号化、物理的なデータセンターのセキュリティなど、多岐にわたる保護策を取り入れています。さらに、「共同責任モデル」に基づき、Microsoftとユーザー双方がセキュリティの責任を持つことが強調されています。
4. グローバル展開
Azureは60以上のリージョンでのサービス提供を行っており、どこからでも迅速なアクセスとデータの保存が実現します。これにより、グローバルなビジネス展開をサポートし、顧客に対して最適なエクスペリエンスを提供することができます。
5. Microsoftサービスとのスムーズな連携
Azureは、すでに多くの企業が利用しているMicrosoft各種サービス(Microsoft 365、Power BI、Power Platform、Dynamics 365、OpenAIなど)とのシームレスな統合を実現しています。これにより、業務効率の向上やデータの一元管理、高度な分析が期待できます。
Azure、AWS、GCP:3大クラウドサービスのそれぞれの特徴
2023年現在、クラウドコンピューティングの市場は急速に成長しており、その中心に位置するのがMicrosoft Azure、AWS、そしてGCPです。これらのクラウドサービスはそれぞれ異なる特性と強みを持ち、多くの企業や開発者が利用しています。
Microsoft Azureの特徴と強み
Azureは、Microsoftの製品を多く使っている企業にとって最も魅力的な選択肢となっています。Azureの最大の特徴は、Microsoftの製品群との高い親和性です。特にWindowsベースのアプリケーションやサービスをクラウドに移行する際、Azureはその強みを最大限に発揮します。また、AzureはMicrosoftのエンタープライズ契約との組み合わせが可能で、既存のライセンスを活用したコスト削減が期待できます。
AzureのVirtual Machinesは、LinuxおよびWindowsベースの仮想マシンを提供し、最大で416個のvCPUと12TBのメモリを搭載可能です。Azure Machine Learningは、エンドツーエンドで機械学習サイクルをサポートするプラットフォームで、Visual Studioを活用し、ローカルとクラウドをシームレスに統合します。Azure Active DirectoryやAzure Virtual Networkなど、セキュリティやネットワーク面での強力なサポートも提供しています。
AWSとGCPの特徴
一方、AWSは提供するサービスの総数が最も多く、幅広いユーザー層に対応しています。Amazon EC2やAmazon SageMakerなど、多岐にわたるサービスを提供しています。
AWSについてはこちらの記事をご確認ください。
GCPは、GoogleのAIや機械学習の技術を活用したい企業にとって魅力的な選択肢となります。GCPは、Googleが開発した高性能なAIと機械学習のAPIを提供しており、これらを活用することで、高度な分析や予測、自動化などを行うことが可能です。
それぞれのクラウドサービスは異なる特性と強みを持っていますが、Azureは特に企業向けのソリューションが豊富であり、Microsoft製品との強い統合性が特徴です。これらの特性を見極め、企業は自身のニーズに最も適したクラウドサービスを選択することが重要です。
Azureの主要サービス2023年度版
Azureは、クラウドコンピューティングの領域で200以上のサービスを提供しています。この記事では、その中でも特に利用されているサービスを紹介します。これらのサービスは、ビジネスの成長や技術的要件に応じてカスタマイズして利用することができます。
インフラストラクチャサービスの主なカテゴリ
■コンピューティング
Azureのコンピューティングサービスは、アプリケーションやサービスをホストするための基盤を提供します。特に仮想マシンやコンテナ技術に関するサービスが充実しています。
Azure Virtual Machines (Azure VM)
LinuxやWindowsの仮想マシンを数分以内に作成・運用することができるサービス。2023年度には、更なるパフォーマンス向上とコスト効率が実現されました。
Azure Virtual Machine Scale Sets (Azure VMSS)
複数の仮想マシンを一度にデプロイし、一元的に管理するサービス。特に大規模なワークロードに対応するための機能が強化されています。
Azure Kubernetes Service (AKS)
Azure上でKubernetesのクラスターを簡単にデプロイ・運用するマネージドサービス。セキュリティや監視機能が一層強化されています。
■ネットワーク
Azureのネットワークサービスは、リソース間の高速かつ安全な接続を実現します。
Azure Virtual Network
Azure内のリソースとの通信を保護するためのネットワークサービス。プライベート接続やVPN接続のサポートが拡充されています。
■ストレージ
Azureのストレージサービスは、データの高速アクセスと持続的な可用性を提供します。
Azure Blob Storage
大容量の非構造化データを保存するためのオブジェクトストレージサービス。2023年度には、データの取得速度が向上し、更なるコスト削減が実現されました。
プラットフォームサービスの主なカテゴリ
■データベース
Azureのデータベースサービスは、高可用性とスケーラビリティを持つデータベースソリューションを提供します。
Azure Cosmos DB
世界中のデータセンターにデータを分散させることで、一貫性と高速なアクセスを実現するサービス。マルチリージョンのレプリケーションや自動スケーリング機能が特徴です。
Azure SQL Database
完全マネージド型のリレーショナルデータベースサービス。自動的なバックアップやスケーリング機能を持ち、SQL Serverの技術をベースに、クラウド環境でのデータベース運用を最適化しています。
■Web
AzureのWebサービスは、高速なレスポンスと安定した運用をサポートします。
Azure App Service
さまざまなWebアプリケーションを簡単にホストするサービス。2023年度には、新しいランタイムやフレームワークのサポートが追加されました。
■モバイル
Azureのモバイルサービスは、モバイルアプリのバックエンド機能を高度にカスタマイズして提供します。
Notification Hubs
モバイルデバイスへのプッシュ通知をサポートするサービス。大規模な通知の配信やリッチな通知コンテンツのサポートが強化されています。
■先進技術とAI
Azureの先進技術とAIサービスは、最新の技術トレンドを取り入れ、機械学習やディープラーニングのモデルを簡単に構築・運用するためのソリューションを提供します。
Azure IoT Hub
IoTデバイスの監視・管理をサポートするサービス。デバイスのライフサイクル管理やセキュリティ機能が一層強化されています。
Azure Synapse Analytics
大規模なデータ分析をサポートするサービス。リアルタイムのデータストリーミングやビジュアルなデータ探索機能が追加されています。
Azure Machine Learning
データの前処理からモデルのトレーニング、デプロイまでの一連の流れをサポートするサービス。新しいアルゴリズムやモデルの最適化機能が特徴です。
■セキュリティ・ID管理
Azureのセキュリティ・ID管理サービスは、Azure上のリソースを保護し、ユーザーのアクセスを適切に制御するためのソリューションを提供します。
Azure Security Center
Azure上のリソースを保護するための統合的なセキュリティ管理ツール。リアルタイムの脅威検出やセキュリティポリシーの適用などをサポートしています。
Microsoft Entra ID
ユーザーのIDとアクセス管理を中心としたサービス。シングルサインオンやマルチファクタ認証などのセキュリティ機能を提供し、企業のデジタルトランスフォーメーションをサポートします。2023年度には、より多くのアプリケーションとの統合や新しいセキュリティポリシーの適用が強化されました。
Azure利用におすすめの企業と導入事例
クラウドへの移行やクラウドを活用したシステム構築を検討する際に、Microsoft 365やWindows系のオンプレミスサーバーとのシナジーを持つことが大きな特徴であるAzureは多くの企業の選択肢として前面に出てきています。
金融や医療などの業界ではAzureのセキュリティ機能やコンプライアンス対応が高く評価されています。金融機関はAzureのセキュリティを信頼し、医療分野では電子カルテのクラウド管理や医療用AIボットの導入などでAzureが活用されています。
さらに、Azure上でのSAPシステムの運用も増加しており、Azureが提供する「SAP on Azure」は、エンタープライズ向けの業務基幹システムを強力にサポートしています。このサービスの提供により、迅速なレスポンス、システムの柔軟な拡張、コストの削減などのメリットが実現されています。Microsoftが自らAzureでSAPシステムを運用している経験をもとに、顧客に最適なソリューションを提供しています。
Azureが急激にシェアを伸ばしている理由は、その多機能性、コスト効率、拡張性、高いセキュリティ、そしてMicrosoft各サービスとの連携が行える点が評価をされていることだと推測されています。今後、Azureを中心としたクラウド戦略や、ChatGPTを代表とするOpenAIとの連携によるAI活用を探求する企業はさらに増加することが予想されるため、Azureを選択する企業はさらに増加すると考えられます。
Azureの特長と最適な利用シナリオ
Azureの採用が特に効果的とされるシチュエーションを以下に示します。
Microsoft製品とのシームレスな連携
AzureはMicrosoftのクラウドプラットフォームであるため、Windows OS、Office 365、Dynamics 365などのMicrosoft製品群とのシームレスな連携が実現されています。特に、Azure Active Directoryを活用することで、シングルサインオン(SSO)やアクセス管理などのセキュリティ対策を強化しながら、効率的な連携を実現できます。
ハイブリッドクラウド
Azureは、オンプレミス環境とクラウドを組み合わせたハイブリッド環境の構築と管理に特化したサービスを多数提供しています。Azure ExpressRouteやAzure Arcをはじめとするサービス群により、安定した接続や一元的な管理、そして柔軟な拡張が可能となっています。
機密情報の堅牢な保護
Azureは、業界をリードするセキュリティ技術とプロトコルを採用しており、機密情報の保護においてもその実力を発揮します。Azureのセキュリティセンターや先進的な暗号化技術を利用することで、データの漏洩リスクを大幅に低減し、ビジネスの信頼性を高めることができます。
Azure導入事例
以下は、BeeXが携わったAzure導入事例の一部を紹介します。
早稲田大学
“私学の雄”として知られる早稲田大学は、2032年に迎える創立150周年に向けて、中長期計画「Waseda Vision 150」を策定し改革を進めています。その一環として同大学は、SAP ERP(ECC6.0)を導入し、研究支援・財務システムとして活用してきました。それから約3年が経ち、ハードウェアのリプレース時期を迎えたことから、運用性の向上やBCP対策の強化を目的に、Microsoft Azure(以下、Azure)への移行を決断しました。そこで同大学はBeeX を移行パートナーに指名。特殊な要件もありましたが、SAP ERPやAzureに精通したBeeXのサポートによりさまざまな課題を解決し、約6カ月という短期間で移行を完了させています。
エイチアールワン株式会社
エイチアールワンは、給与計算を中心とした人事業務アウトソーシングサービスを提供する企業として、200社以上の顧客と30万人を超えるユーザーにサービスを提供しています。近年、顧客の増加に伴い、インフラの拡張やセキュリティの強化が必要となりました。そのため、既存のサーバーOSのサポート終了を機に、インフラ環境の再検討を行い、Microsoft Azureへの移行を決断しました。この移行の背景には、セキュリティの強化、災害対策の実施、AIやRPAの導入を見据えたデータ蓄積のための環境整備などが挙げられます。特に、データセンターを国内に置くことを条件とする顧客の要望に応えるため、Azureを選択しました。このプロジェクトにおいて、エイチアールワンはBeeXと連携し、Azure上でのSAP ERPの運用を実現。わずか2日間のダウンタイムで本番環境を移行し、業務の継続性を確保しつつ、高度なセキュリティとコスト効率性を実現しています。
Azure利用におけるデメリットと対策
Azureは、多くの企業や開発者に利用されています。その高い柔軟性や多様なサービスが魅力とされる一方で、利用者が直面する可能性のあるデメリットや課題も存在します。これらの課題を理解し、適切な対策を講じることで、Azureをより効果的に活用することが可能となります。
毎月の利用料が変動する
Azureに限らずクラウドサービスは従量課金制を採用しています。使用したリソースの量に応じて料金が発生するため、予期せぬコスト増加のリスクがあります。しかし、Azureの「Cost Management and Billing」ツールを活用することで、リソースの使用状況をリアルタイムで確認し、予算を設定してコストの監視や警告を受け取ることができます。
<Azureの見積・料金に関する記事はこちら>
ダウンタイムへの対策と通信トラブルのリスク
Azureは99.95%のアップタイムを提供していますが、完全なダウンタイムの排除は難しいです。さらに、Azureはクラウドサービスであるため、通信トラブルが発生すると利用できなくなるリスクがあります。このため、Azureの「Availability Zones」やバックアップ機能を活用して、ダウンタイムや通信トラブルへの対策を行うことが重要です。
Azureに特有の概念や考え方の理解と専門知識の必要性
Azureを効果的に利用するためには、Azure特有の概念やサービスを理解する必要があります。特に、Azureはカスタマイズの自由度が高い一方で、AWSに比べてネット上の情報やコミュニティが少ないという点もデメリットとして挙げられます。Azureの公式ドキュメントや「Microsoft Learn」トレーニングプログラムを活用することで、知識を深めることが推奨されます。
VMの選択制限と起動遅延
AzureではVMの選択肢が限られており、あらかじめカスタマイズされたマシンタイプから選択する必要があります。これにより、特定の用途に合わせてVMをカスタマイズすることが難しくなる場合があります。さらに、Azureの仮想マシンの起動時間は、一般的に数分から数十分かかることが報告されており、これは他のクラウドサービス、特にAWSに比べて遅いという評価をしているユーザーもいます。
問題発生時の対処法
Azureの運用中に問題が発生した場合、迅速な対応が求められます。Azureは「Azure Monitor」や「Azure Security Center」などの監視・診断ツールを提供しています。問題の原因を迅速に特定し、適切な対処を行うためのツールやサポートチームの利用が重要です。なお、BeeXが提供している「BeeXPlus for Azure」のようなMSPサービスを活用することにより、Azureに関するリスクを抑え、問題発生時への対応を迅速に対応をすることが可能です。
Azureアカウントの作成と活用
Azureの多様なサービスを利用するためには、まずAzureアカウントの作成が必要です。このアカウントはAzureサービスの利用権限を持つもので、取得することでAzureの世界をフルに活用することができます。
Azureのキーコンセプト: テナントとサブスクリプション
Azureのエコシステムを理解するためには、「テナント」と「サブスクリプション」という二つのキーコンセプトを把握することが不可欠です。テナントは、Azureサービスの集合体を一つの箱としてまとめたもので、この中に「サブスクリプション」が複数存在します。サブスクリプションは、具体的には契約や利用の単位を示しています。興味深いことに、Microsoft 365もこの同じ階層構造を採用しており、AzureとMicrosoft 365の間で一貫した経験を得ることができます。
Azureポータル
Azureポータルは、Azureの各種サービスやリソースを管理するための統合的なWebベースのユーザーインターフェースです。Azureポータルを使用することで、Azureリソースの作成、管理、監視を直感的に行うことができます。Azureの各種設定やリソースの監視、料金の確認など、Azureを利用する上での主要な操作は、このAzureポータルから行うことができます。
アカウント作成に必要なもの
・クレジットカード
・利用可能な電話番号
・MicrosoftアカウントまたはGitHubアカウント
Azureアカウントを作成してみよう
Azureを利用する前にアカウントの作成が必要です。※Azureで実際にサーバを構築するといった作業については別の記事で解説をいたします。
1. MicrosoftのAzure公式サイトにアクセスします。
2. 「Azureアカウント作成」のページに移動し、必要な情報を入力します。
3. クレジットカード情報、電話番号、MicrosoftアカウントまたはGitHubアカウントを使用して認証を行います。
4. 必要な情報を全て入力し終えたら、アカウント作成を完了します。
なお、BeeXが提供いているMSPサービス「BeeXPlus for Azure」をご利用の場合は、” BeeXPuls For Azure利用申込書”をご送付いただければアカウント作成が完了いたします。
Azureの無料枠
Azureを利用する際の特典として、初回登録時には無料枠が提供されます。この無料枠を活用することで、Azureの多くの機能やサービスを無償で体験することができます。しかし、Azureの利用を始める前には、料金や利用条件をしっかりと確認し、無駄なコストが発生しないように注意してください。
ハンズオン動画の活用
マイクロソフトの公式サイトには、アカウントの作成から仮想サーバの設定までを解説したハンズオン動画が全6回にわたって公開されています。この動画を参考にしながら、手を動かしてAzureの世界を体験してみてください。
Azureへの移行を成功させるためのステップ
Azureへの移行は、無計画に進めるとさまざまな失敗のリスクが発生します。移行の手順をあらかじめ把握し、それぞれのステップを慎重に踏んで移行作業を行うことが重要です。
Azure移行の具体的なステップ
STEP1:目的を明確にする
Azureへの移行を決める理由やゴール、KPIを設定し、関係者全員で共有することが重要です。
STEP2:移行後のサービス構成を考える
Azureの各サービスの機能を考慮し、自社の要件に合わせたサービス構成を計画します。
STEP3:費用を検討する
Azureの料金体系を理解し、コストシミュレーションを行い、予算内での移行が可能かを検討します。
STEP4:テスト移行を実施
移行計画が固まったら、実際の移行前にテスト移行を行い、移行時の問題点を事前に発見します。
STEP5:移行後の運用体制を整える
Azureへの移行後も、システムの監視やコスト管理など、運用に関する様々なタスクが発生するため、移行前にこれらの運用体制を整えておくことが重要です。
Azure移行のメリット
Azureへの移行には、以下のようなメリットがあります:
1. 柔軟性とスケーラビリティ
Azureは、リソースの追加や削除が容易であり、ビジネスの成長や変化に迅速に対応することができます。
2. コスト削減
物理的なインフラストラクチャの維持や更新の必要がなく、使用したリソースのみを支払うモデルにより、コストを大幅に削減することができます。
3. セキュリティとコンプライアンス
マイクロソフトはAzureのセキュリティを最優先に考えており、多数のコンプライアンス認証を取得しています。これにより、Azureを利用することで、高いセキュリティの環境下でデータの安全性とプライバシーが保護されます。ただし、セキュリティリスクへの対応はユーザー企業側も実施を行う必要があります。
移行後の運用についての注意点
Azureを一定期間運用した後、過去のサーバ環境の廃棄を検討しましょう。廃棄を忘れると、不要なコストが発生する可能性があります。ただし、一度環境を廃棄してしまうと元に戻すことはできません。そのため、移行直後のトラブルに備えて、Azureでの運用が安定してから廃棄を行うことをおすすめします。
Azure移行に関する詳細は以下の記事をご参考にしてください。
Azureの運用を行うときのポイント
Azure運用の課題としては、クラウドの運用経験がないため、クラウド特有の運用ポイントがわからない、障害対応や定期的な保守、監視などの運用負荷を軽減したい、クラウドでの監視やバックアップを最適化したい、クラウド利用コストの削減や見直しといった点が挙げられます。
Azureの運用は、その特性を理解し、適切な管理と企業の経営戦略やシステム戦略に基づいたタイムリーな最適化が求められます。しかし、Azureの頻繁な仕様変更や新サービスの導入により、最適な構成や運用が変化し、最新の情報や知識のキャッチアップが常に必要となります。全体像を把握しにくくなることもあります。そのため、アカウントごとにシステム構成やログ、課金状況をまとめて把握することが重要です。
以上のように、Azureの運用には多くの課題が存在しますが、BeeXが提供している「BeexPlus for Azure」の活用により、これらの課題を解決し、Azureの運用を最適化することが可能です。Azureの運用を最適化するためのサービスで、Azureの特性を踏まえた監視・運用設計を提供します。
Microsoft パートナー認定制度について
Azureの導入や運用をスムーズに進めるためには、専門的な知識や経験が必要です。Microsoftは、そのような専門知識を持つ企業や団体を認定し、顧客に推奨する「Microsoft Cloud Partner Program(MCPP)」という制度を設けています。
MCPPとは
Microsoft Cloud Partner Program(MCPP)は、Azureを中心にしたMicrosoftのクラウドサービスに関する専門的な知識や技術を持つ企業や団体を認定するプログラムです。このプログラムに参加することで、パートナー企業はMicrosoftとの緊密な連携や、最新の技術情報の提供、特別な製品ライセンスの利用など、多くのメリットを享受することができます。また、顧客はこの認定を持つパートナーを通じて、Azureの導入や運用を安心して進めることができます。
ソリューションパートナーとは
ソリューションパートナーは、マイクロソフトが指定した条件をクリアした、Azureやその他のMicrosoft Cloudサービス6つのカテゴリーに関する専門的な知識や技術を持つ企業や団体を指します。
以下は、ソリューションパートナーの認定として存在する6つのカテゴリーです。
1. Business Applications
Microsoftのビジネスアプリケーション(Dynamics 365やPowerPlatform)に関する高い技術力と専門性を持つパートナーを指します。
2. Data & AI (Azure)
AzureのデータベースサービスやAIサービスを活用したソリューションの提供や運用に関する専門知識を持つパートナーを指します。
3. Digital & App Innovation (Azure)
Azure上でのデジタル技術やアプリケーションの革新に関する専門知識を持つパートナーを指します。
4. Infrastructure (Azure)
Azureを基盤とする企業のインフラストラクチャの設計、移行・構築、運用に関する専門知識を持つパートナーを指します。BeeXはインフラストラクチャーの認定パートナーとなります。
5. Modern Work
Microsoft 365など現代の労働環境や働き方に関するソリューションの提供や運用に関する専門知識を持つパートナーを指します。
6. Security
Azureのセキュリティ機能やコンプライアンス要件に関する専門知識を持つパートナーを指します。これらの認定を持つパートナーは、それぞれのカテゴリーに関する深い知識と経験を持っており、Azureの導入や運用を効果的にサポートすることができます。
Azure導入をサポートするパートナーの選び方
Azureを導入する際、特に初めての場合や大規模な導入を考えている場合は、適切なパートナーの選び方が非常に重要です。まず、パートナーの過去の実績や専門知識を確認することが基本です。クラウドリフト・クラウドシフトが隆盛の昨今においては、、Azureの特定の機能やサービスに関する専門的な知識や経験を持つパートナーを選ぶことで、導入の効率や成功率を高めることができます。
Azureソリューションパートナーのインフラストラクチャーの認定を持っているパートナーは、Azureの導入や運用に関する深い知識と経験を持っているため、既存システムをAzureにスムーズに移行・構築を行い、自社にマッチをした運用をすべきかなどのコンサルティングを含めた提案が行えます。
BeeXがAzureパートナーとして得意としていること
BeeXは、システム基盤の移転先を様々な利点からAzureを検討している企業に対して、導入コンサルティング、システム構築からクラウドマイグレーション、運用代行まで一貫して対応を行うことが可能です。Azureをはじめとするクラウドサービスや、基幹システム・周辺システムに長年携わってきたエンジニアが多数在籍しており、導入コンサルティングからクラウド構築、クラウドマイグレーション、運用・保守を支援します。
BeeXPlus for Azure
「BeeXPlus for Azure」はBeeXが提供するAzureソリューションの一つです。このサービスは、Azureのライセンス販売・アカウント発行・管理、テクニカルサポートのみならず、監視サービスやセキュリティサービスなど、クラウドを安心/安全に利用するサービスをパッケージ化して提供しており、Azureの利活用に欠かせないライセンスリセールとサポートサービスを高品質かつリーズナブルに提供しており、コストの削減/最適化、ガバナンスの強化、クラウドの積極活用など、よりハイレベルなAzureの利活用を可能にするサービスです。
Azureとは?"Microsoft Azure基本"のまとめ
この記事では、Microsoft Azureの基本的な概念とその活用方法を詳しく解説しました。Azureはクラウドコンピューティングのリーダーの一つであり、その多機能性、コスト効率性、拡張性、セキュリティの高さから多くの企業がAzureを選んでいます。
また、Azureは数多くのフルフィーチャードサービスを提供し、ユーザーは自分のビジネスに最適なソリューションを選べます。 しかし、Azureを最大限に活用するためには、その特性を理解し、適切な管理と企業の経営戦略やシステム戦略に基づいたタイムリーな最適化が求められます。Azureの頻繁な仕様変更や新サービスの導入により、最適な構成や運用が変化し、最新の情報や知識のキャッチアップが常に必要となります。 Azureの運用には多くの課題が存在しますが、これらの課題を解決し、Azureの運用を最適化するためには、BeeXのAzureソリューションの活用がおすすめです。
BeeXは、Azureの特性を踏まえた監視・運用設計を提供し、運用・保守の負担を軽減することが可能です。これにより、Azureの運用をより効率的に行うことができます。 Azure移行に関するポイントは下記のホワイトペーパーをご覧ください。Azureについてさらに詳しく知りたい方は、他の記事もご覧ください。