相鉄ビジネスサービス株式会社

AWS

バス会社のデータ分析基盤をAWS上に構築 - 帳票の作成工数が削減され、柔軟な分析が可能に

業種
交通
従業員数
300~999人

バス会社のデータ分析基盤をAWS上に構築 - 帳票の作成工数が削減され、柔軟な分析が可能に

相鉄グループのシェアードサービスセンターとして、バックオフィス業務の代行を行うほか、グループ内の業務システムの企画・開発・運用を手がける相鉄ビジネスサービス。同社はグループのバス会社からの依頼を受け、BeeXの支援のもと、アマゾン ウェブ サービス(AWS)上にデータ分析基盤を構築。データレイクにはAmazon Redshift、BIツールにはTableauを採用しました。これにより、Excelベースで管理していた大量の業務データを一元的に集約することが可能になり、帳票の作成にかかる工数が削減。グラフィカルなインターフェースで柔軟に分析できる環境を実現しました。

課題
  • 業務データがシステムごとに散在、形式もバラバラ
  • BIツールの使い方が固定化、定型的なデータ分析しかできない
  • 業務が属人化され、誰もが自由に使えない
解決したこと
  • 業務データの一元化が実現し、集計作業が自動化
  • 帳票の作成にかかる工数が削減され、本来の分析業務へリソースを割り当てられるように
  • インターフェースの改善により、現場からの要望に合わせた柔軟な分析が可能に

今後の展開まで見据えた提案を評価しBeeXをパートナーに選定

神奈川県を中心に、運輸、流通、不動産、ホテルなどの事業を展開する相鉄グループ。相鉄ビジネスサービスは、同グループのシェアードサービスセンターとして、グループ各社の間接業務を集約し、業務の効率化を推進するのが主な業務です。その一環として同社は、グループ内のさまざまな業務システムの企画・開発・運用にも携わっており、各社の状況に応じた最適なシステムの提案も行っています。

同社が今回データ分析基盤を導入したきっかけは、同グループの相鉄バスから収入系システムのリプレース案件を受託したことにありました。その作業を進めるにあたり、既存システムにおけるデータ分析に関するさまざまな課題が浮かび上がってきたのです。

相鉄バスでは、路線バス/長距離バスの乗車券、定期券、回数券などの収入データ、企業との契約輸送の収入データ、バスの整備履歴、運行実績、停留所ごとの乗降客数データなどと、沿線の天候、イベント開催、人口データの推移などのデータを組み合わせ、収入変化の分析を行っています。しかし以前はExcelを使って分析を行っており、そのベースとなる業務システムからの出力データや、各種実績データの形式はバラバラでした。また、BI ツールを導入してはいたものの、使い方が固定化されており、分析軸の変更も容易でなかったといいます。結果として分析の作業は属人化し、誰もが自由に使えるものではなくなってしまいました。
この点について、シェアードサービスグループ システム担当 係長の熊谷徹氏は「業務データがシステムごとに散在していたため、定形の分析帳票を作成する際に大きな負担がかかっていました。また、柔軟性がないため分析も決まりきったものに留まり、各部門からのリクエストにも応えられない状況でした」と語ります。

同社はこうした課題を整理した上で、相鉄バスに対し収入系システムのリプレースと並行して新たなデータ分析基盤の導入を提案。その開発を受託しました。

相鉄ビジネスサービス株式会社 移行後のシステム概要図

協働作業の中でAWSのノウハウを学ぶ

相鉄ビジネスサービスはデータ分析基盤の導入について、AWSの利用を前提に検討を進めることにしました。というのも、同社は既存システムの大半をAWSへ移行済みで、新規システムもAWS上に構築する方針をとっていたからです。同社がAWSを採用するに至った理由について熊谷氏は「候補に上がったクラウドサービスの中で、最も操作性が優れていました」と語ります。検討を重ねた結果、同社はAmazon RedshiftとAmazon Simple Storage Service(Amazon S3)をベースにデータレイクを構築することにしました。

導入パートナーについては、2018年6月から選定を開始。複数のベンダーの提案を比較し、その中からBeeXを選びました。
「BeeXを採用した理由ですが、今回の導入のみならず、将来的にグループのほかの会社へ展開することまで見据えた提案だったからです。加えて、当社が先々自力で展開を進めるためのスキルトランスファーに対応いただけること、プロジェクトを我々と一体となってやっていくという姿勢、当社で利用しているETLツール(ASTERIAWARP)の開発経験なども評価しました」(熊谷氏)

初めてのデータレイク導入は苦労の連続 - 複雑化したデータ構造を粘り強く分析

プロジェクトは2018年9月にキックオフ。6カ月後の2019年3月にカットオーバーしました。新たに構築されたデータ分析基盤は、ストレージがAmazonS3、データレイク(DWH)がAmazon Redshift、データ変換のETLツールがASTERIA Warp、BIツールがTableauという構成になっています。

同社にとってデータレイクの導入は初めての経験であったことから、構築の過程ではいくつか問題が発生しました。シェアードサービスグループ システム担当の野口亮太氏は「一番の難所は複雑化した既存環境(Excel)の分析でした。業務システムから出力されたCSVデータや、Excelで管理していた実績データの形式がすべて異なっていたため、それぞれのデータ構造を読み解きながら、Amazon Redshift上で分析できるかたちに加工・変換していきました。この際、既存の分析帳票と同じ形式で出力できるというのが必須条件だったので、どのデータをどこから持ってきて、どのように加工すれば現在の帳票を再現できるかで試行錯誤しました」と当時を振り返ります。

既存データの移行についても、データの量が膨大だったためかなりの時間がかかったといいます。またパフォーマンスも一部で不足がありましたが、これらはBIツールの機能を利用することで改善を図っています。

業務データの一元化が実現、集計作業も自動化 帳票作成の工数が削減される

今回導入されたデータ分析基盤は、2019年4月から稼働を開始しています。現在は既存システムと並行稼働中ですが、データの整合性が確認でき、ユーザーが操作に慣れてきたタイミングで本格的な運用をスタートさせる予定です。

新たなデータ分析基盤が導入されたことで、業務データの一元化が実現し、その集計作業も自動化されました。これにより業務の属人化が解消され、誰でも集計作業を担当できるようになっています。また、帳票の作成にかかる工数も削減され、担当者は本来の分析業務にリソースを割り当てられるようになりました。さらに、グラフィカルなユーザーインターフェースで、分析軸も自由に変えられるBIツール(Tableau)の導入により、データの提供・分析といった要望にも柔軟に対応できるようになりました。

「業務部門からのリクエストに応じ、すでにいくつかダッシュボードを作って提供しています。以前は収入系の部門からの要望がほとんどでしたが、新システムになってからは運行計画を策定する部門からも声が届くようになりました。データ分析が容易になったことで、今後はさらに多くの部門へ利用が拡がっていくのではないでしょうか」(野口氏)

グループの他の会社へ横展開を検討 機械学習による高度なデータ活用にも期待

相鉄ビジネスサービスでは、今回のプロジェクトを通じて獲たスキルをもとに、データ分析基盤を相鉄グループの他の会社へ提案、横展開していくことを検討しています。一方、データの活用については、機械学習の機能に注目しており、熊谷氏は「BeeXには、最新の技術を活かした提案をいただければありがたいですね」と語っています。

プロジェクト全体を振り返って熊谷氏は、BeeXに対し次のように評価を下しています。
「基盤部分の構築については安心して任せることができました。私たちが要求したリクエストにも適切に対応いただき、技術力の高さを実感しました」

時代とともに変化していくニーズに対応しながら、相鉄グループのビジネスを支える相鉄ビジネスサービス。今回のプロジェクトによって得られたデータ分析のスキルとノウハウは、今後も同社の事業活動に活かされていくことでしょう。

インタビューにご協力いただいた方々

  • シェアードサービスグループ システム担当 係長
    熊谷 徹 氏
  • シェアードサービスグループ システム担当
    野口 亮太 氏

相鉄ビジネスサービス株式会社

相鉄グループのシェアードサービスセンターとして、グループ各社の間接業務を集約し、その効率化を推進するとともに、グループ全体の業務改革を牽引する役割を担っています。シェアードサービスセンターの下には人事給与、経理財務、システム、総務広報の4つのグループがありますが、システム部門はグループ内の事業に関するシステムの企画・開発・運用を担当しており、最近ではコンサルティング機能の強化やRPAの活用にも積極的に取り組んでいます。

SAP は、ドイツおよびその他の国々におけるSAP SEの登録商標です。

アマゾン ウェブ サービスおよびAWSは、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

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