SAP Analytics Cloud ~Just Ask やってみた~

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生島 健大

SAP Analytics Cloud ~Just Ask やってみた~

目次

はじめに

こんにちは。BeeXで主にSAP Analytics Cloud(以後SAC)のBI・Planning開発を担当している生島です。

先日、SACの新機能として、
SAC内のデータ検索をより強力にする「Just Ask」機能のリリースが発表されました。
https://www.sap.com/assetdetail/2024/02/7c9c5bd1-a97e-0010-bca6-c68f7e60039b.html

SAPの生成AIに関するロードマップの取り組みの一つであり、
SACに収集した様々なデータに対し、自然言語処理を通じて必要な情報を取得することができる機能となっています。

既存の機能である「インサイト検索」との違いがわからず、見た目が少し新しくなったのかな?
程度の印象だったので、実際に触って比較してみました。

Just Ask利用の準備

Just Ask機能の使用は、ホーム画面上部の電球のアイコンを選択して起動します。

比較のため、インサイト検索で利用可能なモデルを検索対象に追加します。
検索対象のモデルの追加は、「モデル管理」→「モデルの追加」から実行できます。

また、Just Askで使用中のモデルがインサイト検索で利用できるよう、
Sales_SampleModelにインデックス作成の設定を行います。

これでモデルの設定は完了です。

Just Askとインサイト検索の比較

【比較①】検索結果

「Just Ask」のロゴをクリックすると、検索画面に戻るので、早速検索を試してみましょう。
Just Askでは日本語機能は現在サポートされていないため、
今回は英語での問い合わせを行います。

追加したモデルを確認したところ、
BestRunJuice_SampleModelモデルには「Location」・「Store」、
Sales_SampleModelモデルには「Country」・「State」・「Store」と、
場所に関する項目が複数存在するため、「monthly gross margin by place」と入力し、実行します。

「place」に関連するワードとして検知された「Location」と「Store」に関する2つのチャートが生成されました。

インサイト検索で実施した場合、「Plant」に関するチャートが生成されました。

どちらも「place」と関連するディメンションの結果は表示されますが、Just Askの方がより多くの検索結果を提供してくれました。また、生成されるチャートのデザインも、Just Askの方が鮮やかになっています。

【比較②】検索画面の機能

Just Askの画面では、検索結果をチャート表示からテーブル表示に切り替えることができます。

インサイト検索では、候補として表示された別のチャート種別へ表示を切り替えることができますが、その他の選択肢はありません。

また、Just Ask画面では、階層を持つディメンションが表示された場合は、階層の粒度を変更することができます。

【比較③】検索結果の外部への活用

・ストーリーへのコピー&ペースト

Just Askもインサイト検索と同様に、ストーリーにチャートをコピー&ペーストすることができます。

ただし、Just Askからコピーしたチャートは、「従来のデザインエクスペリエンス」で作成したストーリーには使用することができません。

インサイト検索では、逆に「最適化されたデザインエクスペリエンス」のストーリーに貼り付けることができません。

・CSVのエクスポート

Just Askもインサイト検索と同様、CSVデータをエクスポートすることができます。こちらはインサイト検索と差異は無いようです。

・Data Analyzerの使用

Just Askのみ、検索結果からData Analyzerを起動し、更にデータ探索を行うことが可能です。
Data Analyzerを起動すると、検索結果で表示されていたディメンション・メジャーが初期表示されます。


【比較④】検索ルールのカスタマイズ

インサイト検索にはない新しい機能として、Just Askでは検索する際のルールを定義することができます。今回は同義語設定を検証してみたいと思います。

モデルを追加したときと同様、モデルの管理画面から対象のモデルを選択します。

同義語を設定するディメンションを選択し、「同義語」タブからディメンション名と同義とする内容を追加し、保存します。

それでは、比較①で検索した際と同様、「monthly gross margin by place」と入力し、検索します。
比較①のときには2つのモデルに対する検索結果が表示されましたが、今回は同義語を設定した「location」のみの結果が表示されました。

より精度の高い検索結果をユーザが得られるよう、メンテナンスすることができます。

まとめ

これまで比較した結果を表にまとめてみました。

検索結果の数については、他にも様々なクエリを実行して検証が必要だと思いますが、特に検索ルール設定が可能である点はJust Askの強みだと感じました。
一方で、インサイト検索の全ての機能に対し互換性があるわけではないため(ストーリーへのコピー&ペーストなど)、検索結果の活用先まで見据えて使用する機能を選択する必要があります。

Just Askへの一本化

もしインサイト検索を使用しない場合は、以下の手順でインサイト検索をOFFにすることが可能です。

この設定を行うことで、ホーム画面の検索窓から検索を行った場合でも、Just Askが起動するようになります。

さいごに

Just Askをインサイト検索しながら比較してみましたが、基本的にはJust Askの方が機能が充実しているように思いつつ、ケースとしては少ないですがインサイト検索を使用する場合もまだあるのではないかと感じました。
SAP Analytics Cloudでユーザ自身がデータ探索を行う一つの選択肢としてご参考頂ければと思います。


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