S/4HANACloudでの拡張開発その３

S/4HANA
SAP

2024.12.25

この記事を書いたメンバー：

旭直也

S/4HANACloudでの拡張開発その３

はじめに

前回のブログでは、SAP S/4HANA Public Cloud Edition（以下、S/4 HANA PCE）でカスタムCDSビュー作成のために、データソースとするCDSビューの確認方法を紹介しました。
本ブログでは、少し具体的に以下の内容の紹介をします。
・カスタムCDSビュー
　ステータスが「リリース済」のCDSビューを利用して独自のCDSビューを作成する。
・カスタム分析クエリ
　CDSビューを利用して分析用のレポートを作成する。

カスタムCDSビュー

【目的】
SAPで提供されているCDSビューでは対応できない場合にユーザ独自のCDSビューを作成する。
例えば、標準のCDSビューでは項目が不足していたり、他のテーブルと組み合わせ（結合）してデータを確認したい場合などに利用する。
作成したCDSビューは、分析レポートや外部公開APIのデータソースとして利用する。

【ポイント】
SAPで提供されているなかでステータスが「リリース済」のCDSビューを利用して独自のCDSビューを作成する。
SAP ECCのクエリにおけるインフォセットに相当する。
ビューを作成する際に「シナリオ」によって制約がある。
※詳細は参考資料「Extend and Integrate Your SAP S/4HANA Cloud」をご参照ください。

シナリオ	ポイント
標準CDSビュー	特に多段階でCDSビューを作成するような場合は本シナリオを選択する。
分析キューブ	カスタム分析クエリのデータソースとする場合に選択する。特に、CDSビューにパラメータがある場合には本シナリオを選択する。
分析次元	カスタム分析クエリのデータソースとする場合に選択する。
外部API	ODataサービスを生成する場合に選択する。

ロジックを含む金額項目以外の独自の項目はCDSビュー内で作成する。
テーブルの結合はAssociationとして定義される。
GroupByやUnionなどは定義できない。

メインのデータソースを起点として1階層のみを結合できるため、複雑なものは事前に設計する。
例）OKパターン
メインテーブル　→結合テーブル（複数）
例）NGパターン
メインテーブル　→結合テーブル①→結合テーブル②
　この場合は2段階でCDSビューを作成する
　A：結合テーブル①→結合テーブル②を作成する
　B：メインテーブル→Aで作成したテーブル

【イメージ】
アプリ「カスタムCDSビュー」を起動し、登録ボタンをクリックする。

プライマリデータソース（主テーブル）を選択する。

必要に応じて関連データソース（Association先）を選択する。

結合条件を指定する。

取得する要素（項目）を選択する。

プライマリデータソースおよび関連データソースの項目が選択できる。

公開ボタンをクリックしてCDSビューを公開状態にする。
公開後にデータブラウザボタンからデータ内容を確認できる。

カスタム分析クエリ

【目的】
CDSビューを利用して分析用のレポートを作成する。
作成するレポート形式はピボットテーブルのような表形式となる。

【ポイント】
SAPで提供されているCDSビューおよびカスタムCSDビューを利用できる。
利用できるCDSビューのシナリオは「分析キューブ」または「分析次元」となる。
ロジックを含む金額項目の独自項目はカスタム分析クエリで作成する。
複数レイアウトがある場合、レイアウトの調整は作成されるレポートのレイアウト管理機能で行う。

【イメージ】
アプリ「カスタム分析クエリ」を起動し、登録ボタンをクリックする。
クエリ名を入力し、データソースを選択する。