AWS MarketPlaceで提供さているAMIのサブスクリプションを従量課金から年間料金に変更する場合の考慮事項

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SAITO Keita

AWS MarketPlaceで提供さているAMIのサブスクリプションを従量課金から年間料金に変更する場合の考慮事項

目次

はじめに

AWS MarketPlaceで提供されるAMIを利用してEC2を構築して利用している環境で、本稼働も始まり料金モデルを使用量だけ課金される従量課金から年間料金への変更を行いました。

この際に考慮する事項について本記事でまとめていきます。

ドキュメント

AMI の サブスクリプション AWS Marketplace - AWS Marketplace

AWS Marketplace が AMI 年間契約に関する修正を発表 - AWS

そもそも従量課金と年間料金って?

AWSのMarketPlaceで提供されている一部のAMIでは、使った分だけ利用料が請求される従量課金モデルだけではなく、年間契約するモデルも提供している物があります。


年間料金モデルは一年間の利用を確約する事で割引した価格で利用できるモデルとなっており。

2024年11月現在、SUSE社から提供されている AWS Marketplace: SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications 15 SP5 の製品で価格を見てみると。

従量課金の場合のProduct cost/hourが $0.51となっており、従量課金で24/365で稼働させて事を想定すると年間で $4,467.6($0.51 * 24 * 365)となりますが。

年間料金の場合のproduct cost/365 days は $1,346.00となっており、従量課金と比べると70%程度の割引効果があります。













このため本稼働がはじまり24/365で安定稼働している場合は、年間料金で契約する事で料金の低減効果を享受できます。


提供元によって割引率は色々でしょうが、MarketPlaceから提供されるAMIを利用しているケースでは、従量課金ではなく年間料金が提供されているか確認するがよさそうです。

料金モデルを変更する際の考慮点

  • 稼働率がどの程度になっているか
  • 利用傾向が変わりインスタンスタイプ変更が発生しないか
  • これから一年間本当に存続するインスタンスなのか

料金モデルを変更する際の考慮点としては、上記の三点が主な所かと思います。


稼働率がどの程度になっているか

そもそも平日日中のみ稼働していたり、停止期間が長い場合など稼働率を考えると年間料金ではなく従量課金で利用した方がコストメリットがあるケースが考えられます。 このような場合はもちろん年間契約には移行せずに従量課金で利用した方がコストメリットがありますし。

利用傾向が変わりインスタンスタイプ変更が発生しないか

また構築段階でインスタンスタイプが仮置きのケースでは、年間料金はインスタンスタイプを選択して契約するため、購入後にインスタンスタイプが変更になると契約した年間料金が適用されなくなってしまう危険性がありますが、この点については2024年5月31日に下記の発表がAWSより現在ではだいぶ状況は緩和されています。

AWS Marketplace が AMI 年間契約に関する修正を発表 - AWS 


年間契約の修正

今現在は上記ドキュメントにあるように、年間契約について条件によってはインスタンスタイプの変更が可能となっており、以前よりだいぶ柔軟性がましている状況です。


2024年11月現在のドキュメントでは念のため英語版を確認しても

You can make a change as long as the prorated cost of the change is greater than zero. 

と記載されており価格が下がる方向での変更はできませんが、価格が高くなる方向ではインスタンスタイプの変更はできるように読み取れます。 

ただしExample 1: Switching to an instance type of equal value のケースでは ネットコストが $0 ですが変更できそうに書いています。

The net cost is $0, so the amendment can occur.

なんとなく greater then zero とは書いてありますが、$0の場合は変更できるのでは? といった感じに読み取れますが要確認。

これから一年間本当に存続するインスタンスなのか

インスタンスの利用がなくなった場合は、MarketPlaceの年間料金でキャンセルはできるかと言えば

例 6: インスタンスタイプの削除にある通り、変更後の日割りコストがマイナスになるため対応できません。

例 6: インスタンスタイプの削除

年半ばに、顧客は m5.large インスタンスタイプの 1 つのユニットを削除したいと考えています。この変更の按分コストは、削除されたインスタンスの按分コストとして計算されます (6 か月分の m5.large - 2,000 USD)。正味コストは -2,000 USD (0 USD 未満) であるため、修正を行うことはできません。

従量課金から年間料金に切り替える際には、これから一年間稼働するか精査する必要があります。

切り替えについて

該当のMarketPlace製品画面のView purchase optionsから年間料金の購入ができる事はわかりますが、実際に購入した後に、既存の従量課金で稼働しているインスタンスが年間料金に切り替わるためには何かする必要があるのかどうか、ドキュメントの記述から見つける事はできませんでした。

この点については、念のためAWSサポートに確認してみた所、特にインスタンスの再起動や別途操作を伴わずに自動で従量課金から年間契約の適用に切り替わるとの回答をいただけたため、実際に年間料金を購入してみたところ、特に何もせずに従量課金から年間料金に切り替わる事を確認できました。

適用状況を確認したい

Filtering the data that you want to view - AWS Cost Management

切り替え後に従量課金が発生せずに年間料金でまかなわれているか確認したい場合、コストエクスプローラーから料金発生の有無で確認ができるようです。

従量課金の場合、Charge typeがUsageで発生していましたが、年間料金の場合はChage typeがOther out-of-cycle chargesで発生するようになっており。

年間料金購入後に、従量課金側の料金発生がなくなり適用されている事を確認できています。

総評

RIやSavingsPlansなどと同様に、MarketPlaceのAMIについても(すべての製品であるわけではないようですが)、年間契約による割引契約が存在する場合があります。

割引契約が存在する場合は、この点を意識して最適な利用計画を立てましょう。


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