2018 SAPPHIRE NOW クラウド関連の発表まとめてみた

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2018 SAPPHIRE NOW クラウド関連の発表まとめてみた

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SAP社の最大イベントSAPPHIRE NOWが、今年も6月5~7日に米国フロリダ州オーランドで開催されました。今年も各パートナーからSAPPHIRE NOWの時期にあわせていくつか発表が行われましたが、本記事ではクラウド関連の発表について、昨年同様にまとめてみました。

Amazon Web Services

まずはAWSです。今回はSAPPHIRE前1ヶ月程度のニュースもあわせてまとめました。

C5,M5インスタンス認定

SAPPHIREより前の発表ではありますが、C5およびM5インスタンス上のSAP稼働が認定されました。C5 ,M5インスタンスは、最新のIntel® Xeon® スケーラブル・プロセッサー (Skylake)を搭載しており、ハードウェアアクセラレーションを使用できるNitro Hypervisorを採用しているのが特徴です。
Nitro Hypervisorの前に、まずNitro System(ナイトロシステム)について簡単に説明します。Nitro SystemはAWSの仮想マシンEC2のサブシステムで、もともとEC2を稼働させるためHypervisor上で稼働していたソフトウェア処理部分を、AWSが独自に開発したハードウェアにオフロードしたものです。具体的にはストレージ、ネットワーク、セキュリティ、監視等の処理が対象となります。EC2のHypervisor上のソフト処理がオフロードすることにより、ホストサーバの能力のほとんどをユーザーのインスタンスに振り分け、性能向上を実現しています。
ちなみにVMware on AWSなどが提供できるようになったのは、Nitro Systemにおかげです。このNitro Systemにより軽量化したHypervisorがNitro Hypervisorになります。C5,M5インスタンスでは、Nitro Hypervisor/Nitro Systemにより性能向上が図れ、現在m5.24xlargeインスタンスでは、これまでで最高のパフォーマンスである135,230SAPS (vCPUあたり1,409)を提供することができています。HWレイヤーからHypervisorまで自社で開発している点がAWSの驚異的なところです。
Nitro SystemについてPublickeyさんの記事がわかりやすいです。
https://www.publickey1.jp/blog/18/aws_nitro_system.html

大容量メモリインスタンス提供

SAP HANAのミッションクリティカル用途での展開を実現するように設計された、6TB、9TBおよび12TBのメモリを搭載したハイメモリのEC2ベアメタルインスタンスの提供を予定していることが発表されました。
ちなみに、将来的な予定として6TB以上のインスンタンス提供予定であることは以前から発表されておりましたが、今回ベアメタルで提供予定とより具体的になっています。
AWSベアメタルインスタンスは、i3.metalというインスタンスが既にプレビューとしてリリースされています。前述のNitroSystemを使用して提供されており、AWSがもつ様々な既存機能を利用できるようにしているのが特徴です。特にi3.metalではサーバ障害が発生した場合でも、AutoRecoveryで復旧できると言った点が特徴としてあげられます。今回のインスタンスが同様な機能を提供するかはまだ不明ですが、AWSが提供するものなので、既存サービスの融合については期待できると思われます。。
今年の夏にこれらのインスタンスをプライベートプレビューとして利用できるようにし、今秋には一般利用可能にする予定とのことです。単純のメモリが増えたというだけではない、AWS流のベアメタルサーバの提供に期待しています。
また、16TB以上のメモリを搭載したインスタンスも同様に作業中とのことです。
AWSのベアメタルインスタンスについて以下を参照ください。
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/new-amazon-ec2-bare-metal-instances-with-direct-access-to-hardware/

Amazon AppStream 2.0を使ったSAP GUI

Amazon AppStream 2.0を使用して、HTML5と互換性のある任意のブラウザでSAP GUIを表示できるようになったことが発表されました。SAP GUIを各PCへインストールすることなく、SAPシステムにアクセスが可能となり、クライアントPCの管理工数削減が期待できます。
ただし、AppStream 2.0のローケル対応については拡張があったものの、残念ながらSAPGUIの日本語化については、クライアントPCのシステムロケール設定で言語判断等を行っている関係で、まだ課題を抱えています。詳細については別途検証レポートをまとめる予定です。

Azure

続いてAzureです。AWS同様にHANA用大容量メモリインスタンスについて発表がありました

Mシリーズの認定

SAPPHIRE一ヶ月前の発表となりましたが、仮想タイプであるMシリーズがSAP HANAのインスタンスとして認定されました。Azureでは、従来よりホストサーバ上にI/Oキャッシュを搭載することにより、高速なI/Oを実現していましたが、このキャッシュはDB整合性を維持するため、DB用途では「Read」でのみ採用が推奨されており、Write性能には課題を抱えていました。これを解決したのがMシリーズに搭載された低I/Oレイテンシーを実現するWriteアクセラレーターです。本機能のリリースによりI/Oレイテンシーが劇的に向上した結果、仮想タイプでのSAP S/4 HANA稼働認定取得を実現しました。
Azureでも仮想タイプで最大4TBメモリのインスタンスをHANAサーバとして稼働することが可能となりました。選択肢が増えたのはユーザーにとっては嬉しいことです。またAWSと同様にHANAのセットアップを行うテンプレートも提供されました。推奨構成でのHANAのセットアップを行うことがテンプレートを使って出来るようになり、構成面での安心と構築期間の短縮化が実現可能になりました。
Writeアクセラレーターについては以下を参照してください。
https://azure.microsoft.com/en-us/blog/write-accelerator-for-m-series-virtual-machines-now-generally-available/

大容量メモリ

現在Mシリーズは4TBまですが、最大12TBのメモリを搭載されるインスタンスが提供予定であることが発表されました。まだ詳細は不明ですが、AWS同様クラウド上へ大容量メモリインスタンスの提供が可能となる点は期待できます。

Standard SSD

Standard SSDという新しいストレージタイプがPreview開始になりました。
今まで本番機等にはPremium Storageという高速なSSDをSAPシステムでは使用することが推奨されておりましたが、高価なために開発機や検証機等で使用するのはコスト的に厳しい部分があり、低速なHDDを採用するケースが多いのですが、負荷の高いテストなどを行うとIO性能が課題となることがありました。
今回Previewで提供されるStandard SSDは その間を埋めてくれるストレージとなるため、安定したテストを低コストで実現することが可能となりそうです。今までのHDDはバックアップ用途など性能が求められない用途におきかえていくのが推奨のようです。
Standard SSDについての詳細は、下記LINKを参照してください。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/blog/preview-standard-ssd-disks-for-azure-virtual-machine-workloads/

GCP

続いてGoogleです。

大容量メモリ

GCPでも4TBの仮想タイプのインスタンスが認定されました。
AWS、Azureと比較するとまだまだ実績は少ないですが、今後が楽しみです。

スマートデータアクセス

Googleではペタバイト規模の低コストで高性能な分析基盤としてサーバーレスのデータウェアハウスであるGoogle BigQueryを提供しています。HANAとBigQuery をスマートデータアクセスを通じてネイティブに統合することが可能となりました。
セットアップ方法など詳細は以下に記載されています。
https://blogs.sap.com/2018/04/08/hana-sda-google-bigquery/

HANAでNVRAM(不揮発性メモリ)に対応

最後はクラウド関連ではなく、H/W関連です。
H/Wとしては大きな転換となる話しであり、とても楽しみにしている製品のため取り上げてみました。
インテルの不揮発性メモリ「Intel Optane DC persistent memory」は、メインメモリのDRAMと同じくDDR4スロットに挿せる不揮発性メモリで、インテルが6月1日に正式発表し、2019年に本格出荷が予定されています。
Intelが発表した本 memoryは、今までのDRAMとフラッシュストレージの間にある位置付けの製品となります。3DXpointという技術を使い、DRAMと比較すると大容量、フラッシュストレージと比較すると圧倒的に高速で動作し、かつ不揮発性つまりサーバを停止してもメモリー上のデータが消えることがない、革新的な製品となります。
今回SAP HANAでは、Intel Optane DC persistent memoryに対応する事が発表されました。これにより今までサーバを停止すると、In Memory上のデータは消去され、サーバ起動時にフラッシュストレージから再度メモリ上へ展開しなおすという時間が必要でした。今回NVRAMを採用することにより、サーバーを停止してもメモリ上からデータが消えず、停止前の状態を引き継いで稼働することが可能になります。またSAP HANA向けにメモリーを大容量化する際にもその用途が期待できます。懸念事項としては、DRAMと比較するとNVRAMは低速である点です。実際に稼働させた場合どのような性能になるのか?など気になる点はあります。ただし革新的な製品となることは間違いないと考えています。
更にクラウド上へ採用/展開されるのか?というのが、とても気になる点です。
姿を表わすのは来年以降、クラウド展開は更にその後となりそうですが、今から とてもワクワクする製品です。
HANAのNVRAM採用についてはPublicLKeyさんの記事がわかりやすいです。
https://www.publickey1.jp/blog/18/dbsap_hana.html

全体を通して

今回は、主にSAPのIaaS関連についてまとめてみました。
共通するのは、大容量メモリインスタンスの提供が、各社とも具体的になってきた点です。また、今回は取り上げませんでしたが、SAP Cloud Platform の各社サービス上への展開も確実に広がってきています。
「クラウドだと実現できない」という事が、また一つなくなりました。逆に「クラウドだから出来る」ということが更に広がってくることになりそうです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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