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(1/4)AWS EC2でWindowsクラスタ検証:共有ストレージ検討編では、AWSでWindowsのFailoverクラスタを作成するために、SoftNAS社の製品を使用してiSCSIの共有ストレージを作成しました。
今回は、クラスタの共有ストレージを作成するため、Windows Server 2016の標準機能である記憶域レプリカを使用して、実現可能かを試してみました。試した構成は、マイクロソフト社の「記憶域レプリカの概要」サイトに記載されていないシナリオですが、できるといいなという構成案の一つです。
なお、記憶域レプリカを使用可能なシナリオは、次のものであると記載されており、「サーバー間の記憶域レプリケーション」シナリオを拡張して考えると、クラスタの共有ストレージを作成できそうにも見えます。
- ストレッチ クラスターでの記憶域のレプリケーション
- クラスター間の記憶域レプリケーション
- サーバー間の記憶域レプリケーション
テスト構成
次のような構成をWindows Server 2016を使用して構築してみます。Eドライブをクラスタの共有ストレージに設定します。
クラウド: AWS
OS: Windows Server 2016
レプリカ方法: 記憶域レプリカ(Windows Server 2016)
サーバ: SWTYO030(レプリカ元)、SWTYO031(レプリカ先)
ストレージ: Eドライブ(レプリカ対象のストレージ)、Fドライブ(レプリカ用ログ領域)
テスト実施
まず、Windows Failoverクラスタを設定した上で、記憶域レプリカの機能を追加します。
次にPowershellを使用し、記憶域レプリカ構成のテストを行います。
Test-SRTopology -SourceComputerName SWTYO030 -SourceVolumeNames E: -SourceLogVolumeName F: -DestinationComputerName SWTYO031 -DestinationVolumeNames E: -DestinationLogVolumeName F: -DurationInMinutes 5 -IntervalInSeconds 1 -ResultPath C:¥temp
結果、下記のエラーが発生しました。The specified volume E: cannot be found on computer SWTYO030. If this is a cluster node, the volume must be part of a role or CSV; volumes in Available Storage are not accessible
クラスタ環境下で記憶域レプリカを使用するには、対象ストレージがクラスタの役割の一部になっているか、CSV(クラスタ共有ストレージ)である必要があるといわれています。(クラスタの役割の一部とは、例えばファイル共有などのサービスをクラスタとして設定し、その中で対象のストレージを使用しているという意味です。)
残念ながら、Eドライブをクラスタの共有ストレージに設定することはできませんでした。
まとめ
クラスタ内では「記憶域レプリカの概要」サイトに記載されている通り、クラスタ間ではストレージのレプリカを作成することはできるが、クラスタ内のサーバ間でローカルストレージを共有ストレージとして利用するための機能ではないことがわかりました。
なお、本情報は2017年4月時点で筆者により試した結果です。将来的に仕様が変更される可能性がありますので、最新情報を確認ください。
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