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Amazon Web Services(AWS)は、その多機能性とスケーラビリティにより、ビジネスの成長とイノベーションを支える重要なツールとなっています。しかし、その料金体系は一見複雑に見え、理解するのが難しいかもしれません。本記事「AWSの料金体系を理解しよう」では、AWSの料金体系を分かりやすく解説します。AWSの「従量課金」制度を中心に、その仕組みを詳しく説明し、AWSを効果的に利用するためのコスト管理のヒントも提供します。
AWSの料金体系の理解
AWSは、アマゾンが提供するクラウドサービスで、その料金体系は「使ったら使った分だけ支払う」従量制料金が基本となっています。この記事では、AWSの料金体系を理解し、それに基づいて料金を見積もる方法を詳しく解説します。AWSを導入するかどうかを社内で検討する際、料金目安を正しく見積もって稟議にかけるための基礎的な知識を提供します。
AWS料金体系:従量課金が基本
AWSの料金体系は「従量課金」が基本で、使用した分だけ支払うという形式を採用しています。これは水道料金や電気代と同じように、使用量に応じた料金が発生するシステムです。例えば、仮想サーバーを構築できる「Amazon EC2」では、利用した時間に応じて1秒単位で料金が計算されます。休日や夜間、サービスを止める時間帯がある場合は料金が発生しないため、うまく活用すればコストを抑えることが可能です。
AWSサービスごとの料金体系
AWSの料金はサービスごとに設定されており、利用するサービスによって料金が異なります。有名なサービスとしては「Amazon EC2」や「Amazon S3」がありますが、それ以外にも200種類を超えるサービスが提供されています。 AWSの料金体系はサービスごとに異なり、その中でも主要な課金要素は以下の3つとなります。
1. サーバー
AWSの仮想マシンであるEC2インスタンスの利用に対する料金です。インスタンスタイプ、リージョン、インスタンスの使用時間に応じて課金されます。例えば、「t3.micro」というタイプのEC2サーバーは、0.0104 USD/時間となります。また、サーバーのサイズによっても値段が変わります。サイズは「micro、small、medium、large」などの段階的なものがあります。
2. ストレージ
AWSのストレージサービス(S3、EBSなど)の利用に対する料金です。データの格納量、データの転送量、データの耐久性などに応じて課金されます。例えば、「S3標準」のストレージでは、最初の50TB/月は0.023 USD/GB、次の450TB/月は0.022 USD/GB、500TB/月以上は0.021 USD/GBとなります。
3. データ転送
AWSリソース間やAWSとインターネット間でのデータ転送に対する料金です。データの転送量とデータの送信元/送信先のリージョンに応じて課金されます。AWSからインターネットへのデータ転送量に応じて料金がかかります。AWS内の同じデータセンター内のデータ転送と、AWSに向かうデータ転送は無料ですが、AWSからインターネットへのデータ転送は有料です。 また、AWSのリージョンによっても料金が異なる場合があります。各リージョンにおけるインフラストラクチャのコストや地域特有の要素に応じて、料金が設定されます。利用するリージョンによってコストが変わることを考慮して、最適なリージョンを選択することが重要です。 さらに、AWSはさまざまな追加サービスを提供しています。例えば、AWS LambdaやAmazon RDSなどのサービスは、利用したリソースや処理の量に基づいて課金されます。これらのサービスごとに異なる料金体系がありますので、各サービスの料金ページや料金計算ツールを参照する必要があります。 最新の料金情報や料金計算には、AWSの公式ウェブサイトや料金ページを参照することをお勧めします。
AWS料金見積もりと計算ツール
AWSの料金を把握するためには、公式の料金計算ツール「AWS Pricing Calculator」が利用できます。このツールはWebベースのコンソールからAWSユースケースの見積もりを作成することができます。見積もりの詳細な計算内容を確認できるため、どの機能にどのくらいの費用がかかるかチェックしながら必要な機能を吟味することができます。利用料金の見積もりをする際の操作マニュアルも用意されており、必要項目(ストレージやメモリの容量、データ転送量など)を入力すれば、簡単に見積もり金額を算出できます。
これにより、十分必要なだけの費用でAWSを活用することができ、支出の計画を立てやすくなります。 また、現在利用しているAWSサービスにおいても、詳しく利用状況を見直すことで、コスト削減できる余地を見つけられる可能性があります。 ただし、AWS料金計算ツールは無料で利用することができますが、利用にあたっては料金計算の前提を確認しておくことが重要です。例えば、計算結果として表示される見積もりには、適用される可能性がある税金は含まれていないことに注意が必要です。 また、AWS料金計算ツールは、ツール上で入力した情報のみの料金の詳細を結果として表示します。この価格が、各AWSサービスのマーケティングページの価格と異なる場合、マーケティングページの価格が優先されます。
特定のプロジェクトやサービスの料金を見積もる方法
AWSのサービスによって見積もりの項目や、見積もり方法が異なるため、利用したいサービスを決めたら、操作マニュアルを確認しながら見積もりを算出しましょう。なお、利用するサービスごとに見積もりを算出し、複数サービスを合算することも可能です。
特定のケース(例:2TBの容量を持つWindowsファイルサーバーの構築)の料金見積もり例
具体的なケースとして、2TBの容量を持つWindowsファイルサーバーの構築を考えてみましょう。この場合、AWS Pricing Calculatorを使用して、以下のような手順で見積もり金額の確認を行います。
- 「AWS Pricing Calculator」にアクセスする
- 見積もりたいサービス(例えば Amazon EC2)を選択する
- リージョン(例えば東京)と、見積もり方法(クイック見積りか高度な見積りを選択する
- EC2インスタンスを実行するOS(例えばWindows)を選択する
- 毎月のワークロードや必要なインスタンス台数(例えば1台)を設定する
- vCPUの数、メモリ容量などを基に、インスタンスタイプ(例えばt3.large)を選択する
- 価格戦略(例えばオンデマンドインスタンス)を選択する
- ストレージ量(2TB)を入力する
- データ転送量(GB/月)を入力する
- 見積もり結果の金額が表示される
ひとつずつ具体的に説明をします。
1. 「AWS Pricing Calculator」にアクセスし、「見積もりの作成」ボタンをクリックします。
AWS公式の料金計算ツール「AWS Pricing Calculator」
2. リージョンを選択します。
ロケーションタイプはリージョンを選択し、リージョンは東京を選択します。
3. 見積もりたいサービスを選択します。
「サービスを検索」の欄に「EC2」と入力すると、Amazon EC2が最初に出てきますので、「設定」ボタンを押します。
4. EC2インスタンスを実行するOSとしてWindows Serverを選択します。
5. 毎月のワークロードと必要なインスタンス台数を設定します。
ここでは一定の使用量とし、インスタンス数1とします。
6. vCPUの数、メモリ容量などを基に、インスタンスタイプを選択します。
7. 支払いオプションを選択します。
今回の例では”オンデマンド”を選択していますが、自社の契約状況や意向にあわせて
選択をしてください。以下に表示されているお支払いオプション項目を説明します。
AWSの課金および購入オプションに関する情報は以下のとおりです。
1. Savings Plans
1年または3年の毎時の支出をコミットすることで、オンデマンド価格と比較して最大72%まで請求額を削減することができる柔軟な価格モデルです。AWSは、Compute Savings Plans、EC2 Instance Savings Plans、およびAmazon SageMaker Savings Plansの3つのタイプのSavings Plansを提供しています。
- Compute Savings Plans
コストを最大66%削減することができます。これらのプランは、インスタンスのファミリー、サイズ、AZ、地域、オペレーティングシステム、またはテナンシーに関係なく、EC2インスタンスの使用に自動的に適用され、FargateおよびLambdaの使用にも適用されます。
- EC2 Instance Savings Plans
最低価格を提供し、特定の地域の個別のインスタンスファミリーの使用へのコミットと引き換えに、最大72%の節約を提供します。
- Amazon SageMaker Savings Plans
Amazon SageMakerの使用に対して最大64%の節約を提供します。
2. オンデマンド(今回選択をしたプラン)
長期のコミットメントなしに秒単位でコンピューティング容量の料金を支払う課金オプションです。インスタンスのライフサイクルを完全に制御できます。
3. スポットインスタンス
AWSが使用されていないEC2インスタンスを、オンデマンド価格と比較して最大90%の割引で提供する課金オプションです。
4. リザーブドインスタンス (RI)
1年または3年のコミットメントを行い、オンデマンドの価格と比較して最大72%の割引を受ける課金オプションです。RIは物理的なインスタンスではなく、アカウント内のオンデマンドインスタンスの使用に適用される請求の割引です。
- スタンダード
スタンダードリザーブドインスタンスは、特定のインスタンスタイプ、オペレーティングシステム、および地域に1年または3年間コミットします。
- コンバーティブル
期間中にRIの属性を変更することができます。
これらの課金オプションは、企業やプロジェクトのニーズ、ワークロードの予測可能性、および予算の制約に基づいて選択することができます。
8. ストレージの大きさを入力します。
ここでは2TBとします。
9. データ転送量(GB/月)を入力します。
インターネットからAWSへのデータ転送(インバウンド)は無料です。AWSにあるサーバーからAWS以外に転送(アウトバウンド)する量を見積もっておきます。ここでは1TBとしておきます。
10. 見積もり結果の金額が表示されます。
「サービスを保存して追加」を押すと、ここまで入力した見積内容が保存され、最初の画面に戻ります。
必要に応じて他のスペックのEC2インスタンスを追加したり、EC2以外のサービスの見積もりも追加することができます。
右下の「概要を表示」をクリックすると、明細を確認することができます。
AWSと他の環境(オンプレミス、Azure、GCP)の料金比較
AWS利用時によくコストで比較検討されるのがオンプレミスの環境とMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)といった他社クラウドです。諸条件や前提によってコストは費用が大きく変わるため、具体的な金額ではなく”コスト構造”に主眼を置き比較をしてみます。
AWSとオンプレミスのコスト構造は大きく違う
AWSとオンプレミスの料金構造は大きく異なります。オンプレミスの場合、初期投資が大きくなる傾向があります。これは、物理的なサーバー機器やネットワーク機器、冷却設備などの設備投資、そしてそれらを設置するためのスペースが必要となるからです。また、これらの設備を運用・保守するための人件費も忘れてはなりません。
一方、AWSは初期投資がほとんど不要で、利用した分だけを後払いで支払う従量課金制を採用しています。具体的な料金は、使用したサービスやその規模(例えば、EC2のインスタンスタイプや使用時間、S3のストレージ使用量など)によって変動します。また、データ転送量によっても料金が発生します。AWSからインターネットへのデータ転送(ダウンロード)は有料で、大量のデータを頻繁にダウンロードするとデータ転送料金が高額になる可能性があります。
<オンプレとクラウド(AWS)のコスト構造比較>
項目 | コスト 区分 | コスト 項目 | オンプレ | クラウド |
1 | 初期費用 | ハードウェア 購入費用 | 必要 | 不要(クラウド利用料に含まれる) |
2 | OS費用 | 必要(既存ライセンス利用の 場合は不要) | 不要(クラウド利用料に含まれる) | |
3 | ミドルウェア費用 | 必要 | 必要 | |
4 | 設計・構築費用 | 必要(自社実施の場合) | 必要(自社実施の場合) | |
5 | ランニング | クラウド利用料 | 不要 | 必要 |
6 | ハードウェア 保守費用 | 必要 | 不要(クラウド利用料に含まれる) | |
7 | OS保守更新費用 | 必要 | 不要(クラウド利用料に含まれる) | |
8 | ミドルウェア 保守更新費用 | 必要 | 必要 | |
9 | データセンター 利用料 | 必要 | 不要(クラウド利用料に含まれる) | |
10 | ネットワーク 接続費用 | 必要 | 不要(クラウド利用料に含まれる) | |
11 | 電気代 | 必要 | 不要(クラウド利用料に含まれる) | |
12 | 運用・監視費用 | 必要 | 必要(自社運用部分のみ) | |
13 | セキュリティ | 必要 | 不要(クラウド利用料に含まれるが強化範囲拡張により必要) | |
14 | 機器障害対応 | 必要(物理故障や冗長化) | 不要(クラウド利用料に含まれる) |
上記表をみておわかりのように、オンプレミスとクラウドの最大の違いは、固定費と変動費の比率です。オンプレミスのシステムは固定費が高く、ハードウェア、ライセンス、設置場所、冷却、電力などの初期コストが必要です。これに加えて、継続的なメンテナンスやアップグレード、セキュリティの更新にもコストがかかります。このため、オンプレミスの設備は通常、購入後数年間は使用し続ける必要があります。
一方、AWSのようなクラウドサービスは、初期投資が少なく、ユーザーは実際に利用したリソースだけに対して課金されます。この変動費ベースのモデルは、ビジネスの需要に応じてスケールアップまたはスケールダウンする柔軟性を提供します。ただし、不意のトラフィックの増加やサービスの過剰使用には注意が必要で、これが原因で費用が急増する場合があります。
要するに、オンプレミスは予測可能な固定費が中心で、総所有コストが明確ですが柔軟性に欠ける傾向があります。AWSのようなクラウドは初期コストが低く、柔軟性が高いですが、予測外の利用が費用を増加させるリスクが伴います。ただし、クラウドのリスクはAWSの知見をもつパートナーのソリューションを活用することで最小限に抑えることが可能です。
AWS、Azure、GCPのコスト比較
AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)の3つのクラウドサービスもそれぞれ料金構造が異なります。しかし、共通しているのは、すべてが従量課金制と事前の利用コミットによりディスカウントプランを用意している点です。つまり、コスト構造に大きな違いがないため、どのベンダーを選ぶかは、自社のチーム、アプリケーション、ワークロードが何を必要とし、要件を十分に理解する必要があります。最近では、システムの適正やリスクヘッジを兼ねて、複数のクラウド環境で運用する企業も増加をしています
具体的な料金は、使用したサービスやその規模、利用時間などによって変動します。例えば、AWSのEC2やAzureのVirtual Machines、GCPのCompute Engineなどの仮想マシンサービスは、使用したインスタンスのタイプや時間によって料金が変わります。また、ストレージサービス(AWSのS3、AzureのBlob Storage、GCPのCloud Storageなど)も、使用した容量によって料金が変わります。 それぞれのクラウドサービスには料金計算ツール(AWSの「Pricing Calculator」、Azureの「Pricing Calculator」、GCPの「Google Cloud Pricing Calculator」など)が提供されており、これを利用することで、自社のシステムをクラウドに移行した場合の料金をあらかじめ試算することが可能です。 また、以下のサイト(英語)で詳しく料金を比較していますので参考にしてみてはいかがでしょうか。
1. CAST AI
このページでAWS、Azure、Google Cloud Platformのクラウド価格比較を提供しています。AWS、Azure、Google Cloud Platformのクラウド価格を比較しており、汎用インスタンスとコンピューティングに最適化されたインスタンスについて、それぞれのクラウドサービスの1時間あたりのオンデマンド価格を比較しています。また、1年間の先行コミットメントによる割引価格の比較も提供しています。
2. ベリティス
AWS、Azure、GCPの平均的なユーザーとして予想される金額を提示しています。
3. Sherweb
AWS、Azure、GCPのクラウド価格比較を提示しています。各プラットフォームの料金計算ツールの比較も提供しています。
※3大クラウドの比較は別記事で解説をします(公開準備中です)
AWS利用料金の変動性と為替リスクの影響
AWSの料金体系は「従量制料金」を採用しており、使用した分だけを支払う方式となっています。これは水道料金や電気代と同じような考え方で、例えば「Amazon EC2」のような仮想サーバーを構築できるサービスでは、利用した時間に応じて1秒単位で料金が計算されます。これにより、休日や夜間などの使用しない時間帯には料金が発生せず、適切な運用によりコストを抑えることが可能です。
AWS利用料金の最適化と値下げトレンド
AWSの料金はサービスごとに設定されており、利用するサービスによって料金が異なります。複数のサービスを組み合わせて利用することも可能ですが、請求額が当初の見込みを超えないように、サービスの組み合わせや構成の最適化が重要です。また、AWSは定期的に料金を値下げしており、過去10年間で70回以上の値下げが行われています。これにより、多くのユーザーがAWSを利用するほど、料金が安くなるトレンドが続いています。
為替リスクによるAWS利用料金の上昇
AWSの料金が値下げをされていても、為替リスクから完全に逃れることはできません。為替は常に変動し、その予測は困難です。円安・ドル高が進行すると、AWSの利用料金が上昇するリスクがあります。ある調査によると、AWSの利用者の83.4%が為替リスクによるAWS利用料金の上昇を実感し、値下げの恩恵を感じていないとのデータもあります。
以上のように、AWSの利用料金が高くなる主な要因は、従量制料金による利用量の増加、利用するサービスの選択、そして為替リスクです。しかし、適切な運用と対策を行うことで、これらの要因をコントロールし、AWSの利用料金を適切に管理することが可能です。その結果、企業の状況や時期に応じて、ビジネスの成長とイノベーションを支えつつ、運用コストを最小限に抑えることが可能となります。
AWS運用コスト削減と長期的な負荷軽減のための戦略
AWS(Amazon Web Services)は、その柔軟性とスケーラビリティにより、企業がビジネスを拡大し、イノベーションを推進するための強力なツールとなっています。しかし、その多機能性は同時にコスト管理の複雑さをもたらします。適切な戦略を持たずにAWSを利用すると、予想外の高額な請求に直面する可能性があります。
本章では、AWSの運用コストを効果的に削減し、長期的な運用負荷を軽減するための戦略を紹介します。これらの戦略を活用することで、AWSのパワフルな機能を最大限に活用しながら、コストを管理し、ビジネスの成長をサポートすることが可能となります。
無料枠の活用
AWSの初期コストを抑えるための一つの戦略として、AWSが提供する「無料枠」の活用があります。これは、特定のサービスを試す際のコストを抑えるだけでなく、AWSの多様なサービスを理解するための一助となります。 AWSの無料枠は、「無期限無料」「12ヶ月間無料」「トライアル」の3つのカテゴリーに分けられます。 「無期限無料」はその名の通り、期限なく利用可能な無料枠です。ただし、各サービスごとに設定された利用上限が存在しますので、その範囲内での利用が前提となります。 「12ヶ月間無料」は、新規アカウント作成から1年間、特定のサービスを無料で利用できる枠です。ただし、注意点として、これは1年間無制限に利用できるわけではなく、例えばAmazon EC2の場合、1ヶ月あたり750時間までの利用が無料となります。つまり、1ヶ月間フル稼働させると、無料枠の上限に達してしまうため、その点は注意が必要です。 「トライアル」は、30日間や40時間など、一定期間や一定時間の無料利用を許可する枠です。これは新サービスの試用や、短期的なテストに利用することができます。 これらの無料枠を適切に活用することで、AWSのサービスを理解し、初期コストを抑えることが可能です。ただし、無料枠の範囲を超える利用は課金対象となるため、利用状況の確認と管理は必須となります。
不要なリソースの停止と削除による無駄の排除
AWSを最適に運用するためには、定期的な利用状況の確認と不要なリソースの停止・削除が重要です。特に、開発環境やテスト環境など、本番環境以外で実行されているワークロードや、利用していない時間帯のインスタンスは、無駄なコストを生む可能性があります。
コスト最適化ツールとサービスの活用による定期的なコスト分析と削減
AWSの運用においては、AWS Cost ExplorerやAWS Trusted Advisorなどのコスト最適化ツールを活用して、定期的にコストを分析し、不必要なコストを削減することが重要です。これらのツールを活用することで、使用量を見て、インスタンスの使い分けや契約内容の見直しを図ることができます。さらに、AWSのコスト最適化サービスを利用することも一つの方法です。これらのサービスは、AWSの料金を削減するための最適な方法を提案してくれます。
リザーブドインスタンスによるコスト削減
AWSの運用コストを削減するための一つの戦略として、リザーブドインスタンスの活用があります。リザーブドインスタンスは、1年または3年の期間で予約を行うことで、最大72%の割引が適用されるAmazon EC2やAmazon RDSなどの特定のサービスに利用できます。ただし、契約期間中は料金が請求されるため、契約期間を適切に設定する必要があります。
スポットインスタンスの活用によるコスト削減
スポットインスタンスは、AWSが余剰となっているインスタンスを一時的に利用することで、通常の料金から大幅に割引された価格で利用できる仕組みです。AWS側のキャパシティの都合により、停止となる可能性があるため、これらに対応できる方法で利用する必要があります。
海外リージョンの活用による料金削減
AWSは世界中にリージョンを展開しており、リージョンごとに料金が異なります。海外リージョンを利用することで、料金を削減することができます。ただし、リージョンによっては、日本国内で利用する場合と比べて通信速度が遅くなる場合があるため、利用する際には注意が必要です。
リザーブドキャパシティの活用による通常料金よりも安く利用する
リザーブドキャパシティとは、1年もしくは3年利用することをコミットする代わりとして、AWSでプロビジョニングされたキャパシティに対して通常料金よりも安く利用できる料金オプションです。ただし、リザーブドキャパシティを購入する場合、3年コミットメントは一部のAWSリージョンでのみ利用可能であるため、利用可能なリージョンを確認する必要があります。
Savings Plansの活用による対象サービスの料金割引
Savings Plansとは、1年間または3年間、1時間につき何ドル分AWSを使うという契約をして、対象サービスの料金が割引になる仕組みです。ただし、Savings Plansは、リザーブドインスタンスが対象としているRDS、Redshift、ElastiCacheには適用されないため、利用するサービスを確認する必要があります。
AWS運用代行サービスの活用による割引の獲得
AWSのパートナー企業が提供する「AWS運用代行サービス」や「AWS請求代行サービス」を利用することで、AWSの料金が割引になる可能性があります。
このサービスは、特定の条件下でAWSの利用料金を割引する仕組みを提供しています。
これらの取り組みを通じて、AWSの運用コストを削減し、長期的な運用負荷を軽減することが可能です。ただし、これらの取り組みは、AWSの料金体系や各サービスの特性を理解した上で行うことが重要です。そのため、AWSの公式ドキュメンテーションやトレーニングリソースを活用して、必要な知識を身につけることが推奨されています。
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AWSの料金体系まとめ
AWSの料金体系は、初めてのユーザーには複雑に映るかもしれませんが、基本は「従量課金制」にあります。この方式によって実際に利用した分だけの料金が発生し、不要な出費を最小限に抑えることが可能です。しかし、適切なモニタリングを怠ると、予期せぬ高額な請求が来るリスクも存在します。AWSの料金計算ツールを駆使することで、予算の計画やコストの見積もりが手軽に実施できます。さらに、コストを削減するための策として、リザーブドインスタンス、スポットインスタンス、異なるリージョンの活用、リザーブドキャパシティ、Savings Plansなどが考えられます。これらの選択肢を適切に取り入れることで、AWSの料金を効果的に節約する道が開かれます。とはいえ、最大のコストの節約はAWSのコストに関する適切な知識とパートナーシップから生まれます。AWSの料金体系やサービスの特性を理解し、将来の運用体制も見据えた最良の利用戦略を策定することが極めて重要です。
BeeXはAWS認定のパートナーです。SAPのAWS移行の事例を多数有し、AWSに関する技術力には定評があります。現在利用されているAWSのコスト削減提案はもちろん、設計構築から運用・内製化までワンストップでお客さまをご支援いたします。
本記事が、AWSの料金体系の洞察と、効果的なAWS活用のためのガイドラインとして皆様の参考となれば幸いです。